洗濯研究家・クリーニング師の平島利恵です。四児の母として日々の洗濯に向き合いながら、家庭で実践しやすい洗濯のコツをお伝えしています。
お気に入りの洋服が、洗濯によって色落ちしたり色移りしてしまったことはありませんか。特に濃色の衣類は色褪せが起こりやすく、洗濯を重ねるうちに着られなくなってしまった、というご経験もあるかもしれません。この記事では、色移り・色落ちが起こる本当の原因と、衣類を守る洗い方のポイントを解説します。
私は洗剤を販売していますが、「この洗剤で色落ちしますか?」という質問をよくいただきます。結論から言うと、色落ちは洗剤だけの影響ではありません。色落ちのしやすさは、衣類の染色方法や素材、洗い方によって大きく変わります。
色落ちを左右する「堅牢度」とは
衣類には「堅牢度(けんろうど)」という、染色された生地の色落ち・色移りに対する強さを示す指標があります。堅牢度が低い衣類は、洗剤を入れず、水に浸けただけでも色落ちすることがあります。
濃色の衣類や買ったばかりの衣類は、染料が十分に定着していないため、家庭で洗うと色移りや色落ちが起きやすくなります。「安いから色落ちしやすい」というわけではありません。特に海外のブランド服は、家庭での洗濯を想定していないものや、色の鮮やかさを優先したものもあるため注意が必要です。
色移り・色落ちが起こる3つの原因
色移り・色落ちは、主に洗濯の過程で発生します。ポイントは衣類の堅牢度です。
原因1:水に溶けた染料が、一緒に洗った衣類に移る

濃色の衣類やジーンズは、水の中に染料が溶け出すことがあります。これが白物衣類に付着して色移りが発生します。特に買ったばかりの衣類は注意が必要です。
原因2:濡れて接触した衣類に色がうつる

染料は水に濡れると溶け出すため、洗濯後に濡れた衣類を放置すると、ほかの衣類に色移りすることがあります。洗濯カゴに濡れたものを入れておくのも、色移りや雑菌繁殖の原因に。濡れたものは乾かしながら保管しましょう。
原因3:紫外線による色褪せ

濃色の服を屋外で干すと、紫外線によって白っぽく色褪せてしまうことがあります。色褪せが気になる濃色・鮮色の衣類は、裏返して干す、または日陰干しがおすすめです。
「蓄積汚れ」で色落ちして見えることも

これは染料の色落ちとは少し違う現象です。
衣替えで長期保管した衣類を洗ったら色落ちした、というケースは、落とし切れなかった汚れが時間とともに繊維を劣化させたことが原因。
特に襟袖など皮脂が蓄積した部分は、洗濯で弱った繊維が剥がれ、色落ちしたように見えます。これを防ぐには、しまう前にしっかり汚れを落とす「しまい洗い」が大切です。
色落ちしやすくなる3つの条件
色落ちは、次のような条件が重なると起こりやすくなります。
| 条件 | なぜ色落ちしやすくなるか |
|---|---|
| 洗剤の液性 | 強いアルカリ性の洗剤は、汚れを落とす力が強い分、稀に色の定着が弱い衣類の色を引き出すことがあります。中性洗剤の方が、衣類の色合いを守りながら洗濯できます。 |
| 水温 | 高温で洗うと、染料が溶けやすくなる場合があります。 |
| 擦れ・放置 | 洗濯槽に詰め込みすぎたり、濡れたまま放置すると摩擦が生じ、色落ち・色移りの原因になります。 |
なお衣類は、着用や洗濯による「摩擦」「水流」、外干しの際の「紫外線」によっても繊維が傷み、劣化します。この劣化が、風合いの変化や変色・褪色の要因にもなります。衣類の経年劣化は避けることができません。生地によっては色落ちが起こりやすいものもありますが、ジーンズのように色落ちを楽しむ衣類もあります。
実は、水だけでも色落ちします

買ったばかりの濃色の服は、水に浸けるだけでも染料が溶け出します。全体的にまんべんなく色落ちするので洗い上がりは意外と気づかないものですが、白い服と一緒に洗っていた場合、色移りが起きてしまいます。
濃い色の衣類、特に新しい服は単体で洗うことが大切です。※洗剤をプラスすると、さらに染料が溶け出しやすくなります。
ブランド品を洗濯する際の注意点

ブランド服や高価な服の場合、発色の美しさを優先していたり、そもそも洗濯を想定していない服もあります。特に濃色・鮮色の衣類は注意しましょう。Tシャツなどであっても、中性洗剤(Rinenna No.8)を使い、洗濯ネットに入れ、単体でデリケートコースでの洗濯がおすすめです。
使い方での注意点
「まだらに色落ちした」というご相談をいただくことがありますが、これは実は使い方によるものであることがほとんどです。色落ちのしくみと、防ぐための使い方を知っておきましょう。
まだらに色落ちするのはなぜ?

色落ちは通常、全体にまんべんなく起こるため、洗い上がると気づかないことがほとんどです。一方、一部分だけ濃く色が抜ける「まだら色落ち」は、洗剤の溶け残りが衣類に触れたり、長時間放置するなど、使い方が原因で起こります。
「まだらに色落ち」したときに考えられる5つの原因
まれにいただくご相談です。原因として考えられるのは主に5つです。
- 洗濯表示に沿っていない:「中性洗剤使用」「漂白剤不可」の表示を見落としている場合。
- 洗剤の溶け残りが衣類に直接触れた:これが最も多い原因です。ゴム手袋をつけて、スクラブを潰すように洗剤をしっかり溶かしてください。
- 洗剤を衣類の上から振りかけた:粉末が直接かかった部分は濃度が高くなり、まだらに色落ちする原因になります。洗剤は必ず先にお湯に溶かしてから、衣類を入れてください。
- つけ置き容器が小さく、衣類を詰め込みすぎている:少し余裕のある大きめの容器を使うのがおすすめです。
- 高温のお湯を使用した:染料が溶け出しやすくなります。
「中性洗剤使用」「漂白剤不可」の衣類に#1・#2を使うことは推奨できませんが、必ずしもすぐに色落ちするわけではありません。ただし、その場合は自己責任でのご使用となります。ご不安な点があれば、お気軽にお問い合わせください。
もし色落ちしてしまったら
つけ置き中に色落ちに気づいた場合は、慌てずに衣類を取り出してください。洗剤成分を残さないようしっかりすすぎ、脱水して完了させます。つけ置き開始直後であれば全体的にまんべんなく色落ちするため、洗い上がると色の変化を感じない場合がほとんどです。
⚠ 色落ちに気づかず長時間放置したり、洗剤の溶け残りが衣類に触れたままになっていると、まだらに色落ちすることがあります。
洗剤と色落ちの関係は?
洗剤は基本的に汚れに働きかけるもので、染料自体に作用するわけではありません。色落ちは、衣類の素材や染色工程による定着の強さで変わります。濃色やデリケートな素材は特に、洗い方や洗剤との相性が重要です。
動画で見る|水だけでも色は落ちる
色落ちを防ぐ5つのポイント
- 洗濯表示を必ず確認する
- 買ったばかりの濃色の衣類は分けて洗う
- 色落ちしやすい服は温水洗いを控える
- 洗濯機に詰め込みすぎず、濡れたまま放置しない
- 中性洗剤やおしゃれ着コースを活用する
衣類に合った洗濯をすることで、色落ちを予防し、長く美しい状態を保つことができます。
Rinennaで色落ちを防ぐ洗い方
Rinennaの洗剤は、汚れや衣類のタイプに合わせて選べます。色落ちが心配な衣類には、次のように使い分けてください。
デニム・色落ちが心配な衣類・デリケート素材 → 中性のNo.8
色の定着が弱い衣類や、デニム、ウール・シルクなどのデリケート素材には、中性のおしゃれ着洗剤No.8がおすすめです。中性洗剤は衣類の色合いを守りながらやさしく洗えます。
綿・合成繊維の蓄積汚れ・しまい洗い → #1・#2
綿や合成繊維の普段着で、蓄積汚れを落として「しまい洗い」をしたい場合は、アルカリ性の#1・#2が適しています。ただし色柄物・デニムは、染色が繊維にきちんと染み込んでいない(堅牢度の低い)ものだと色落ちする恐れがあります。色落ちが心配な衣類は、必ず目立たない箇所で試してからご使用ください。淡色・生成りには蛍光剤なしの#1をお選びください。
まとめ
- 色落ちは洗剤だけの影響ではなく、衣類の堅牢度・素材・洗い方で大きく変わる
- 洗剤は汚れに働きかけるもので、染料自体に作用するわけではない
- 濃色・買ったばかりの衣類・海外ブランド服は特に注意
- 強いアルカリ性は稀に色を引き出すことがある。色を守るなら中性洗剤
- 「まだら色落ち」は使い方が原因。溶け残り・上から振りかけ・放置・詰め込み・高温に注意
- 洗濯表示の確認・分け洗い・詰め込みすぎない・濡れ放置しないが基本