PROFILE STORY

洗濯研究家・平島利恵ストーリー

ーー 毎日の洗濯を「格段に楽にする」ためにしてきた道のり

気づけば、私はいつも洗濯機の前に立っています。保育園で駆け回った小さな靴下、部活帰りの泥だらけのユニフォーム、夜遅くにようやく回す家族みんなが使ったタオルたち。その合間に、会社員時代に数字ばかり追いかけていた頃の自分や、東日本大震災の日に紙おむつの棚が空っぽになった光景が、ふと重なります。
売れ残りの布おむつを抱えながら感じた不安、小さなネットショップを始めてからの失敗とやり直し、そして「もみ洗いしない洗濯」という答えにたどり着くまで。このページでは、4児の母として、ひとりの女性として、そして洗濯研究家として、私が洗濯と暮らしの不安に向き合ってきた道のりを、少しだけお話しさせてください。

洗濯研究家/4児ママ社長 Rinenna(リネンナ)代表 平島利恵

1. 震災と布おむつの出会い

震災と布おむつの出会いにまつわる写真

2011年3月11日、東日本大震災の日。あまりの揺れの長さと子どもを守らなきゃということで赤ちゃんを抱えながら床に這いつくばり、気が付いたら夕方になってました。赤ちゃんを抱いてドラッグストアに駆け込むと、紙おむつの棚はすでに空っぽになっていました。残っていたのは、売れ残った布おむつだけ。「本当に、これで大丈夫なのかな」と半信半疑で手に取ったその布おむつは、その後の生き方さえ変わるほど目から鱗なアイテムでした。

少し時計の針を戻して、どうして布おむつから洗剤を開発することになったのか、どんなことを考えていたのかをお話したいと思います。

2. 布おむつ屋さんはじめました

布おむつ屋さんを始めた頃の写真

震災で紙おむつがなくなったことをきっかけに始めた布おむつ。

布おむつは実際に使ってみると、洗ったらまた使えるし、ゴミも出ない、そして洗って干すというときになぜか心がすっきりする。

布おむつは実はとてもよいアイテムなのに、当時販売していた布おむつ自体がわかりにくい。ふと、布おむつ市場を調べてみると、マーケットの数字は「かなり小さい規模」ということがわかりました。これほど小さいマーケットだと、もしかして小さな子どもを抱える私でもやっていけるのではないか。むしろ、この布おむつの世界には、手間と生活感と、まだ誰にも拾われていない“困っている声”がたくさん残っている。ヒットを狙っていくのではなく、この声にちゃんと応えられるようにお店を作りたいといてもたってもいられなくなってきました。

「エンジニアでもない私に、本当にできるんだろうか」という不安もありながらも「これからはネットでモノを買う時代になる」と、本屋で買った入門書を片手に、パソコンに向かって最初のネットショップ「エストランセ」を立ち上げました。デザインも決済の設定も、すべてが手探り。SEOなんて横文字もよく分からず、とにかく自分の言葉で記事を書いて、布おむつのこと、育児のことをひたすら綴りました。布おむつ屋さんを始めて1か月もたたないうちに、おひとりさまで3万円を超える注文が入ったとき、画面の向こうに「共感してくださる方」がいることに気づき、胸が熱くなりました。

3. 検索1位からの大転落

少しずつ注文が増え、「もっと早く伸ばしたい」と欲が出てきた頃です。私は、お金で被リンクを買って布おむつと検索すると1位になるという“近道”に手を出してしまいました。検索順位は一気に上がり、売上も目に見えて伸びていく。「やっぱり、結果がすべてだよね」と自分に言い聞かせていた矢先、突然アクセスが止まり、サイトは圏外へ飛ばされました。どうすることもできず、泣く泣くドメインを手放すしかなくなったあの日、「もう、ズルい方法には頼らない。遠回りでも、まっとうに積み上げよう」と、静かに腹をくくりました。この痛い失敗が、今のRinennaの土台になっています。

4. NYで揺さぶられた価値観

ニューヨーク滞在中の写真

その後、夫の転勤で、家族でニューヨークへ引っ越しをすることになりました。モンテッソーリ系の幼稚園、ユダヤ系コミュニティの集まり、街角のカフェ。そこで出会う人たちは、お金のことも教育のことも、日本とはまったく違う温度で語ります。ユダヤ寺院では毎日のようにお金の講座があり「子どもの将来にどう備えるか」「心からゆとりをもつにはお金が大事だ」ということを、当たり前のように話し合い、選び取っていく姿に、衝撃を受けました。

まずは仕事をしてお金を稼ぐ、そしてそのお金の使い道をどう使うのか、投資をしていくのか、そして大事なことは時間と心の余白をどう持つかなんだ——。その気づきが、「家事を軽くすることも、立派な仕事だ」と私に教えてくれました。

5. ママたちの本当のしんどさ

お客様の声やママたちの本当のしんどさをイメージした写真

ニューヨークにいても、日本のお客様から届くメールやレビューは欠かさず読んでいました。「布おむつを続けたい」「布おむつで子どもとのスキンシップが増えた」というレビューもあれば、「洗濯がつらい」「ニオイが消えない」「時間がない」という、ため息のような本音が並んでいました。

布おむつそのものより、その後ろにくっついてくる“洗濯”こそが、一番のハードルになっている。ママたちの本当のしんどさは、汚れとニオイと手間の三つ巴なんだ——。そうはっきり分かったとき、私の興味は「おむつ」から「洗濯」そのものへと、少しずつピントを合わせ直していきました。

6. "もみ洗いしなくていい洗剤"をつくる

Rinennaの洗剤や洗濯シーンの写真

では、そのしんどさを少しでも軽くするにはどうしたらいいんだろう。私がたどり着いた答えが、「もみ洗いしない洗濯」という発想でした。赤ちゃんのうんち汚れも、大人の汗や皮脂のニオイも、介護の汚れも、基本は“つけ置きで落とす”ことを前提にした洗剤。成分のバランス、肌へのやさしさ、使い方のシンプルさ。何度も試作しては失敗し、やり直しながら、ようやく形になったのがRinennaの洗剤です。「手でこすらなくてもいい」という選択肢を増やすことで、少しでも肩の力を抜いてもらえたら——そんな願いを込めています。

7. 洗濯研究家として伝えたいこと

洗濯研究家として活動する平島利恵の写真

洗濯の悩みの根本をもっと深く理解したくて、私は国家資格である「クリーニング師」の試験にも挑戦しました。保健衛生学、洗浄科学、繊維の性質、設備の知識——想像以上に専門性が高く、家事としてやってきた"洗濯"とのギャップに驚きました。でもそのギャップこそ、ママたちが日々つまずいている部分だと気づいたのです。

専門家としての知識と、生活者としての実感。その両方を往復しながら、誰にでも再現できる"家庭洗濯の正解"を届けたい。そう思うようになり今は「洗濯研究家」として、Yahoo!やSaitaなどの連載、YouTubeなどで洗濯を中心とした情報発信を続けています。

でも、そこで一番大切にしているのは、自社製品を前面に押し出すことではありません。まずは、“今日からできること”を知ってもらうこと。洗剤の量、干し方、ニオイをためないための小さなコツ。そうした知識が増えるだけで、洗濯は少しラクになるし、自分を責める回数も減ります。そのうえで、「どうしても自分だけでは解決できない汚れやニオイ」があったとき、Rinennaという選択肢をそっと差し出せる存在でありたいと思っています。

8. 4児ママ社長が描くこれから

4児の母としての暮らしや家族の写真

気づけば、わが家には4人の子どもがいます。泥まみれになった服、砂まみれの靴下、思春期特有の汗のニオイがしみこんだTシャツ。洗濯カゴの中身は、子どもたちの成長とともに、少しずつ重さと質を変えて積み上がっていきます。これから先には、きっと介護の洗濯も待っているはずです。

赤ちゃん、子育て、介護、そして毎日の暮らし。そのどの場面でも、家事の負担が少しでも減ったらいい。特に洗濯の場面ではRinennaを通じて、そんな小さな安心を、一枚一枚の洗濯物と一緒に、これからも寄り添いながらお届けしていきたいと思っています。

【平島利恵 メディア掲載・監修情報一覧】

4児の母であり「Rinenna(リネンナ)」開発者でもある洗濯研究家・平島利恵は、企業の公式メディア、ニュースメディア、暮らし系記事、動画など、多岐にわたる媒体で監修・掲載されています。以下は、これまでの掲載記事一覧です。

■ 掲載記事一覧

■ ニュース・記事媒体

(Yahoo!授賞式にて)

Yahoo!授賞式での平島利恵の写真

■ 書籍

■ TV・動画出演

■ 公式発信メディア

■ プロフィール

大学卒業後、株式会社リクルートに入社し「じゃらん」のnet事業部に従事。その後、株式会社マクロミルを経て、東日本大震災をきっかけに布おむつ専門店を起業。2013〜2015年のNY滞在中に「揉み洗い不要のつけ置き洗剤」を着想し帰国。株式会社Heulie設立後、洗濯洗剤と布ナプキンブランド Rinenna を展開。現在は洗濯研究家として、TV・雑誌・WEBメディア・企業公式サイトなど、多方面で監修・執筆を担当。主婦としての視点と専門家としての知識を両立し、正しい洗濯方法を発信している。四児の母、クリーニング師。

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