洗濯研究家・クリーニング師の平島利恵です。四児の母として日々の洗濯に向き合いながら、家庭で実践しやすい洗濯のコツをお伝えしています。
「この洗濯洗剤、肌にやさしいですか?」
「敏感肌なのですが、成分を見て使えるか教えてください」
「赤ちゃんの服に使っても大丈夫でしょうか」
Rinennaに届くご相談の中でも、とても多いご質問です。
SNSでは毎日のように、洗濯洗剤についての情報が流れてきますよね。
肌のトラブルを経験したことがあったり、小さな赤ちゃんを育てていたりすれば、そうした情報に敏感になるのは、とても自然なことだと思います。ご自身やご家族のために、少しでも良いものを選びたい。私自身も4人の子どもを育ててきた母親なので、その気持ちはよく分かります。
私はRinennaの洗濯洗剤を、自分で開発してきました。クリーニング師の資格を取るときには、洗濯と汚れの仕組みを一から学び直しました。
今日はその立場から、成分表を見る前に、まず知っておいていただきたいことをお話しさせてください。
洗濯は、「洗って、濯ぐ」と書きます

私がよくお伝えしていることがあります。
「洗濯」という字は、「洗って、濯ぐ」と書きます。汚れを落とす「洗い」だけでは、洗濯は終わっていないんです。
洗濯機には、必ず「すすぎ」の工程がありますよね。
洗いの工程では、洗濯洗剤が衣類から汚れを離し、その汚れを包み込みます。そして、その汚れを含んだ洗浄液を、すすぎによって衣類の外へ排出する。
洗って、濯ぐ。そこまでが、ひと続きの「洗濯」です。
だから洗濯洗剤には、使う量が決められていますし、すすぎの回数もあります。肌にのせて成分を残すことで効果を発揮する化粧品とは、そもそもの目的が違います。
洗濯洗剤は、衣類の汚れを落とすために使うものです。そして洗ったあとは、洗濯洗剤の洗浄成分や、その成分が抱えた汚れを衣類に残さないよう、しっかりすすぐ。
これが、Rinennaが考える洗濯の基本です。
成分名だけでは、洗濯洗剤のことは判断しきれません

正直に申し上げると、成分名だけを見て洗濯洗剤を判断するのは、作っている私たちにとっても難しいことです。
たとえば、お塩やお砂糖にもいろいろありますよね。同じ「塩」と書かれていても、産地や製法によって、味も価格も違います。
洗濯洗剤に使われる材料も、少し似ています。同じ名前で呼ばれている原料でも、品質や加工方法には違いがあります。
さらに、どの材料をどのくらい使うのか、何と組み合わせるのか。その配合によっても、洗濯洗剤としての働きは変わります。
ひとつ、Rinennaの例をお話しします。
Rinennaに配合している酸素系漂白剤には、表面をコーティングした原料を採用しています。酸素系漂白剤は、湿気に触れると少しずつ反応が進みます。使う前に反応が進みすぎないよう、原料の表面に膜をつくる加工を施したものを選んでいます。
でも、商品の成分表示には、そこまでは書かれません。表示されるのは「漂白剤(酸素系)」です。
成分表だけを見ると、別の洗濯洗剤と同じように見えるかもしれません。けれど、成分表には表れない原料の違いや配合設計も、洗い上がりを左右しています。
そして成分表に書かれているのは、あくまで「何が入っているか」です。
どんな汚れを洗ったのか。どのくらいの量を使ったのか。洗濯物をどれだけ入れたのか。何回すすいだのか。
使ったあと、衣類がどう仕上がるかまでは、成分表だけでは分かりません。洗い上がりを決めているのは、洗濯洗剤選びだけではないんです。
肌を洗うものと、衣類を洗うものは違います
「敏感肌だから、洗浄力のマイルドな洗濯洗剤を選びたい」
これも、とてもよくいただくご相談です。お気持ちは、よく分かります。
ただ、ここで一度考えていただきたいのが、その製品は何を洗うためのものなのかということです。
たとえば、肌そのものを洗うボディソープであれば、肌への刺激をできるだけ抑えた、やさしくマイルドな洗浄設計のものを選びたい、という考え方はとても自然です。ボディソープが洗うのは、肌だからです。
でも、洗濯洗剤が洗うのは肌ではありません。洗うのは、衣類です。
衣類には、汗や皮脂、食べこぼし、ミルク、便など、日々さまざまな汚れが付着します。それらを十分に落とせず、衣類に残したままにしてしまえば、清潔な状態とは言えません。

汗や皮脂などの汚れが残った衣類は、時間が経つとニオイや黄ばみにつながるだけではありません。湿気や皮脂などが残った状態では、雑菌が増えやすくなることもあります。そして、そうした汚れや雑菌が残った衣類が長時間肌に触れることで、肌への刺激の一因になる場合もあります。
だから私は、「洗浄力がマイルドであること」だけを、肌へのやさしさの基準にはしていません。むしろ、肌のことが気になる方にこそ、衣類についた汚れをきちんと落としてほしいと思っています。
肌に直接使うものは、やさしく。衣類を洗うものは、汚れをきちんと落とす。私は、その役割を分けて考えています。
そして、洗浄力が高いことと、洗い上がった衣類が肌にやさしくないことは、同じではありません。大切なのは、衣類の汚れをきちんと落とし、そのあとに、汚れと洗濯洗剤の成分を十分にすすぎ出すことです。

汗や皮脂などの汚れは、ついた直後には目立たないものもあります。しかも、汚れが残りやすいのは襟や袖だけではありません。
汗や皮脂がつきやすい脇まわり。肘や膝など、よく曲がる部分。そして、生地そのものだけではなく、縫い目の糸にも汚れはたまりやすくなります。
落としきれなかった汗や皮脂は、次に洗うまで衣類に残っています。だから私は、洗浄力にこだわりました。
強い洗濯洗剤を作りたかったわけではありません
Rinennaは、もともと布おむつについたうんちの汚れを、もみ洗いなしで落としたいという思いから生まれた洗濯洗剤です。

うんちには、たんぱく質や脂質などの汚れが含まれています。それを手でもみ洗いせずに落とすためには、こする力の代わりになるものが必要でした。
そこで考えたのが、お湯につけ置きすることと、アルカリ性の洗濯洗剤で汚れを落としやすくすることです。さらに、界面活性剤や酵素などの洗浄成分、酸素系漂白剤など、さまざまな働きを組み合わせています。それぞれの力を組み合わせることで、もみ洗いをしなくても汚れを落としやすい設計にしました。
強い洗濯洗剤を作りたかったわけではありません。赤ちゃんのおむつを、こすらずに洗いたかった。そのために必要な洗浄力を考えた結果が、今のRinennaです。
成分表を見て、「洗浄力が高そうですね」と思われたとしたら、そのとおりです。でも、その洗浄力には理由があります。衣類についた汚れをきちんと落として、清潔な状態に洗い上げたい。そのための洗浄力です。
洗濯機の中の衣類は、「汚れを含んだ洗浄液」に浸かっています
ここで、すすぎの話をもう少しさせてください。
洗濯洗剤は、衣類についた汚れを浮かせ、その汚れを包み込みます。つまり、洗いの途中の水には、洗濯洗剤だけではなく、衣類から出た汗や皮脂などの汚れも混ざっています。

衣類は、その「洗濯洗剤+汚れ」が混ざった洗浄液の中に浸かっています。ただ水に濡れているのではありません。汚れを含んだ洗浄液で濡れている状態なんです。
だから、すすぎが大切です。
「すすぎが足りない」と聞くと、「洗濯洗剤が衣類に残ることが問題なんですよね」と思われるかもしれません。もちろん、洗濯洗剤の成分を十分にすすぐことも大切です。でも、それだけではありません。
すすぎが不足すると、洗濯洗剤が抱えた汚れも、十分に衣類の外へ排出されない可能性があります。
Rinenna#1・#2で「すすぎ2回以上」、#ZEROで「すすぎ3回以上」とお願いしているのは、洗濯洗剤がきついからではありません。汚れを落としたあと、その汚れを衣類の外へきちんと出すところまでが、清潔な洗濯だと考えているからです。
正直に言えば、「すすぎ1回でOKです」と言った方が、手軽に感じてもらえるのかもしれません。でも、ここは譲れないところです。
汚れも、洗濯洗剤も、衣類に残さない。そのために、すすぎまで丁寧にしてほしいと思っています。
Rinennaが微香料なのにも、理由があります
成分表の「香料」が気になった方もいらっしゃると思います。
Rinenna#1・#2は、微香料です。粉をすくったときに、ふわっと香る程度。毎日の洗濯の時間を、少しでも心地よく感じていただけたらという思いで香りをつけています。

そして、2回以上すすぐと、洗い上がった衣類の香りはかなり軽くなります。Rinennaは、衣類に強く香りを残すための洗濯洗剤ではありません。
香りが苦手な方、少しでも香りを軽くしたい方は、次の方法もお試しいただけます。
柔軟剤のNo.9、シミ抜きの#ZERO、おしゃれ着用洗濯洗剤のNo.8は、いずれも無香料です。
洗濯洗剤を使うときに、手袋をお願いしている理由
Rinennaでは、洗濯洗剤の液やつけ置き液を直接扱うときには、炊事用手袋の着用をお願いしています。
これは、「Rinennaは刺激が強いから危ない」という意味ではありません。
お風呂やキッチンを掃除するときに、ゴム手袋を使うことがありますよね。洗濯洗剤も同じです。
洗濯洗剤は、肌を洗うためにつくられたものではありません。衣類の汚れを落とすためのものなので、洗濯洗剤の液に素手で長時間触れる使い方は想定していません。
特にRinenna#1・#2はアルカリ性です。つけ置き液から衣類を取り出すときなど、洗濯洗剤の液に直接触れる場面では、手袋をお使いください。
そして、ここは分けて考えていただきたいところです。洗濯洗剤の液を直接肌で触ることと、十分にすすいだ衣類を身につけることは、同じではありません。
「残さない洗濯」のために、4つだけ
難しいことはありません。肌のことが気になる方に、私がまず見直していただきたいのは4つです。
「肌が気になるから、まず洗濯洗剤を変えよう」と考える前に、一度この4つを見直してみてください。
赤ちゃんの衣類を洗うときは?
Rinennaは、布おむつを洗うお母さんのために生まれた洗濯洗剤です。Rinenna#1・#2は、赤ちゃんの衣類にもお使いいただけます。ただし、すべての赤ちゃんや、すべての方のお肌に刺激が起こらないことを保証するものではありません。

赤ちゃんの衣類を洗うときも、大切なのは基本的に同じです。
- 洗濯洗剤を適量で使う
- 洗濯物を詰め込みすぎない
- 汚れをきちんと落とす
- すすぎを十分に行う
- 洗濯後は早めに乾かす
蛍光増白剤を避けたい場合は、蛍光増白剤不使用のRinenna#1をお選びください。ただし、Rinenna#2が赤ちゃんの衣類に使えないという意味ではありません。#1・#2とも、洗濯表示上使用できる衣類であればお使いいただけます。
柔軟剤は使ってもいい?
ひとつ、知っておいていただきたいことがあります。
洗濯洗剤と柔軟剤は、目的が違います。
洗濯洗剤は、衣類の汚れを落とし、すすいで洗浄成分や汚れを排出するためのものです。一方で柔軟剤は、繊維に成分が残ることで、なめらかさなどの効果を発揮するものです。
ただ、柔軟剤は「繊維に残って働くもの」だからこそ、肌への残留が気になる方は、洗濯洗剤の成分だけではなく、柔軟剤も含めて洗濯全体を見ることが大切だと思っています。
そして、柔軟剤を使うときには、すすぎの回数にも気をつけてください。
たとえば、おしゃれ着用洗濯洗剤No.8は、洗濯洗剤だけで洗う場合はすすぎ1回でもお使いいただけます。でも、No.9などの柔軟剤を併用する場合は、すすぎ2回をおすすめしています。
理由はシンプルです。1回目のすすぎで、洗濯洗剤と汚れをすすぐ。2回目以降のすすぎで、柔軟剤を作用させる。この順番で仕上げてほしいからです。
すすぎ1回の設定では、洗濯洗剤をすすぐ工程と柔軟剤が入る工程が重なり、洗濯洗剤や汚れを十分に排出する前に柔軟剤が入ってしまうことがあります。
清潔な洗濯は、清潔な洗濯槽から
ここまで衣類の洗い方についてお話ししてきましたが、もうひとつ、とても大切なことがあります。
清潔な洗濯の基本は、洗濯槽を清潔に保つことです。衣類をどれだけ丁寧に洗っても、その洗濯をしている洗濯槽自体が汚れていては、清潔な洗い上がりにはつながりません。
洗濯槽の裏側は、普段は見ることができません。そこに洗濯洗剤の残りや衣類から出た汚れなどが蓄積すると、カビや雑菌が増えやすくなることがあります。洗濯槽が汚れた状態では、洗濯中にそうした汚れやカビの一部がはがれ、衣類に付着してしまうこともあります。
だから私は、衣類を清潔に洗いたいなら、洗濯槽も一緒に清潔にしてほしいとお伝えしています。
目安として、洗濯槽のお手入れは月に1回程度。黒いカスが衣類につくようになってからではなく、目に見える汚れがなくても、定期的にお手入れするのがおすすめです。
石けん洗濯洗剤をお使いの方へ
石けん洗濯洗剤を日常的にお使いの場合は、石けんカスが洗濯槽に残りやすいため、1〜2週間に1回を目安に洗濯槽のお手入れをおすすめしています。
石けん洗濯洗剤が悪いということではありません。石けん洗濯洗剤を使うのであれば、洗濯槽のお手入れまでセットで考えることが、清潔な洗濯につながります。
敏感肌の方の洗濯について、洗濯槽・すすぎ・衣類量なども含めて、動画でも詳しくお話ししています。
まとめ
- 洗濯洗剤は、肌ではなく衣類の汚れを落とすためのもの
- 肌に直接使うものはやさしく、衣類を洗うものは汚れをきちんと落とす。役割を分けて考える
- 汚れが残った衣類は、ニオイや黄ばみだけでなく、雑菌が増えやすい状態になることもあり、肌への刺激の一因になる場合がある
- Rinennaは洗浄力にこだわっている。その理由は、衣類を清潔に洗い上げるため
- 洗浄力が高いことと、洗い上がった衣類が「肌にやさしくない」ことは同じではない
- 成分表だけでは、原料の加工や配合設計、洗い上がりまでは判断できない
- Rinenna#1・#2はアルカリ性。布おむつの汚れを、もみ洗いせず落としたいという思いから生まれた
- 「洗濯」は、洗って、濯ぐ。汚れを落とすだけでなく、すすいで衣類の外へ出すところまでが洗濯
- 洗濯機の中の衣類は、「洗濯洗剤+汚れ」が混ざった洗浄液に浸かっている
- 清潔な洗濯は、清潔な洗濯槽から。洗濯槽も定期的にお手入れする
- 適量・詰め込みすぎない・すすぎ2回以上・早めに干す。まずはこの4つから
最後に
「洗濯」という字は、洗って、濯ぐと書きます。汚れを落とすこと。そして、その汚れを衣類の外へきちんとすすぎ出すこと。そのどちらも大切にしてほしいと思っています。
そして、その洗濯をする場所である洗濯槽も清潔にしておくこと。
何を使って洗うかだけではなく、何を落とすのか。どう洗うのか。どう濯ぐのか。どんな洗濯槽で洗うのか。そこまで含めて、私は「清潔な洗濯」だと考えています。
成分表を気にすることが、いけないわけではありません。大切なご自身やご家族が身につけるものだからこそ、何が入っているのか知りたいと思うのは当然です。
でも、成分表だけでは分からないこともあります。何で洗うかと同じくらい、どう洗うか。衣類の汚れをきちんと落とし、しっかりすすいで、清潔な衣類に仕上げる。そこまで含めて、洗濯を見ていただけたらと思っています。
それでも洗濯後の衣類を着用して、かゆみや赤みなどが出る場合は、成分表だけで原因を決めつけず、いったん使用を中止してください。
すすぎを1回増やしてみる。柔軟剤を一度使わずに洗ってみる。洗濯槽をお手入れしてみる。特定の衣類だけで症状が出ていないか確認してみる。洗濯方法全体を見直すことで、原因を切り分けられることもあります。
症状が続く場合や悪化する場合は、洗濯洗剤だけで判断せず、皮膚科などの専門家へご相談くださいね。









