洗濯研究家・クリーニング師の平島利恵です。四児の母として日々の洗濯に向き合いながら、家庭で実践しやすい洗濯のコツをお伝えしています。
「おしゃれ着やブランド服など、大切な服こそ、品質の高い洗剤で洗いたい」——そう考えて洗剤を選んでいる方は多いと思います。Rinennaのお客様からも、ときどき、
「高価な服だったので、きちんと洗いたくてRinennaを使いました」
と伺うことがあります。
そのお気持ちは、とてもよく分かります。でも実は、洗剤の選び方にはいくつかの注意点があります。
まず、
高価な服だからといって、洗濯に強いとは限りません。
そして、
高価な洗剤が、その高価な服に向いているとも限らないのです。
今日は、洗剤をつくっている立場から、おしゃれ着やブランド服を洗う前に知っておきたい「服と洗剤の選び方」についてお話しします。
洗剤は「値段」ではなく「どんな洗剤か」で選ぶ
Rinenna #1・#2は、一般的な洗剤と比べると高価な洗剤です。
でも、この洗剤がこだわっているのは、「洗浄力の高さ」です。汗や皮脂、食べこぼしなど、衣類に残った汚れをしっかり落とすこと。そのため、Rinenna #1・#2はアルカリ性の粉末洗剤です。
つまり Rinenna #1・#2は、「汚れをしっかり落としたいときの洗剤」。
実は、デリケートな服を洗うには不向きな洗剤となります。
高価な服・ブランド服だから、丈夫とは限らない
でも、高価な服なら品質もいいんだから、
「色落ちしにくいんじゃない?」
「洗濯をしても傷みにくいんじゃないか?」
そう思いますよね。
でも、服としての品質のよさと、家庭洗濯への強さは別の話です。
きれいな発色。
着たときに美しく見えるシルエット。
やわらかな風合い。
繊細な素材や装飾。
高価な服やブランド服には、その美しさをつくるために、素材や染色、加工などにさまざまな工夫がされているものがあります。
そして、その美しさを守るために、家庭での水洗いを想定していない服もあります。
だから、
「高いから丈夫」ではなく、
「高価な服だからこそ、繊細なお手入れが必要」と考えて頂きたいです。
これは、Tシャツやシャツなど、一見丈夫そうに見える服でも同じです。
見た目だけでは、その服が家庭で洗えるかどうかは分かりません。
まず、必ず「洗濯表示」を見る
大切な服、ブランド服はもちろん、「この洗濯、失敗したくないな」と思ったとき。洗剤を選ぶより先に、まず必ず洗濯表示(タグ)を確認してください。

じつは洗濯表示は、意外と見落とされやすいものです。タグを確認してから洗う、という方は、そう多くないかもしれません。さらに、見たとしても記号は分かりにくく、「これが水洗い不可のマークだったとは!」と、あとから知る方も少なくありません。
そして、水洗い不可の服を洗ったからといって、必ず傷むわけでもありません。だからこそ「これまで大丈夫だったから」と、見過ごされやすいのです。
むずかしい記号を全部覚える必要はありません。まずは、これだけ。

このマークは「家庭での水洗い不可」。洗濯おけに×がついています
洗濯おけのマークに「×」がついていたら、家庭での水洗いはできません。このマークだけは、ぜひ覚えておいてください。洗剤を選ぶ前に、これがないかを確認するだけで、大きな失敗を防げます。
さらに、タグに「中性洗剤使用」「蛍光剤禁止」「つけ置き禁止」「柔軟剤禁止」などと、文字で注意書きがされていることもあります。記号は難しそうに見えますが、日本語で書かれている部分も多いので、まずはそこを読むだけでも、失敗を防ぐヒントになります。
洗濯表示の記号一覧は、消費者庁「新しい洗濯表示」でも確認できます。
「品質の高い洗剤なら、服にもやさしい」とは限らない
ここも、洗剤メーカーとして伝えておきたいことです。
「品質の高い洗剤」という言葉には、実はいろいろな意味があります。
- 汚れをしっかり落とす洗剤
- 風合いを守りながらやさしく洗う洗剤
- 油汚れを落とすことが得意な洗剤
それぞれ、目指していることが違います。
例えば、Rinenna #1・#2は、汗や皮脂などの汚れをしっかり落とすことに強みがあります。
一方、Rinenna No.8は、ニットやカシミヤなど、家庭で水洗いできるおしゃれ着の風合いを大切にしながら洗うための中性洗剤です。
RINENNA Pro #ZEROは、メイクや油ジミなど、油性の汚れに働きかけることを得意としています。
どれが一番いい洗剤、ということではありません。
何を洗うのか。何を落としたいのか。
それによって、選ぶ洗剤が変わります。
「高級服・おしゃれ着だからNo.8」でもありません

では、「高価な服なら、おしゃれ着用のNo.8を使えばいい?」というと、これも少し違います。
No.8は中性で、衣類の風合いを大切にするおしゃれ着洗剤ですが、家庭で水洗いできない服まで洗えるようになるわけではありません。これは#ZEROも同じです。
「中性洗剤だから大丈夫」ではなく、まず、その服が家庭で水洗いできること。そのうえで、素材や汚れに合わせて洗剤を選びます。
順番は、
洗濯表示 → 素材 → 汚れ → 洗剤
です。
洗剤はどんな服でも同じように洗えるわけではない
そもそも洗濯洗剤は、衣類についた汚れを落とすためのものです。衣類の染料そのものを落とすことを目的につくられているわけではありません。
でも、
「染料を落とすためのものではない」=「どんな衣類でも色が変わらない」
ではありません。
衣類の中には、水に濡れるだけでも色が出るものがあります。
素材、染料、染色方法、加工、水温、洗う時間。さまざまな条件によって、衣類が受ける影響は変わります。
そして私たち洗剤メーカーには、お客様がお持ちの一着一着が、どのような素材や染色、加工でつくられているのかまで知ることはできません。
だからこそ、衣類メーカーが示している洗濯表示が大切なんです。
それでも「このシミが残ったら、もう着られない」とき
ここが一番難しいところです。
洗濯表示を見ると、水洗い不可。漂白剤も使えない。でも、目立つところにシミがついてしまった。
「じゃあ、どうしたらいいの?」と思いますよね。
まずは、その衣類を実際に確認できるクリーニング店へ相談することをおすすめします。
それでも、
「このシミが残ったままなら、もう着ない。それなら、リスクがあっても自分で洗ってみたい」
と考えることもあると思います。
その場合は、「衣類を守ること」と「汚れを落とすこと」のどちらを優先するのかを考えることになります。

洗濯表示で禁止されている方法を試すのであれば、それは衣類メーカーが推奨しているお手入れ方法ではありません。だから、洗剤メーカーとして「この方法なら大丈夫です」とおすすめすることもできません。
それでも試すのであれば、色や風合い、形などが変わる可能性も理解したうえで、ご自身で判断することになります。
そしてここでも、「弱い洗剤なら大丈夫」とは限りません。水に濡れること自体が適さない服もあるからです。
大切な服だからこそ、洗剤を使い分ける
Rinenna#1・#2は、洗浄力にこだわった洗剤です。
だからこそ、「何でもRinenna#1で洗えます」とは言えません。
しっかり汚れを落とした方がいい服もあります。
風合いを守ることを優先した方がいい服もあります。
そして、家庭では洗わない方がいい服もあります。
高価な服こそ、洗濯は慎重に。
値段の高い洗剤を選ぶことでも、一番強い洗剤を選ぶことでもありません。その服に合った洗い方を選ぶことが、大切な一着を守ります。
洗濯表示について、「まず何を見ればいい?」という方はこちらの記事もどうぞ。









