トコジラミとは?トコジラミの生態と卵の特徴や危険性
最近、ニュースでよく耳にする「トコジラミ」
通販で海外から商品を買われる方や、海外へ旅行・出張される方はとても気になるのではないでしょうか?
海外旅行者の増加や、訪日外国人の増加により、海外からトコジラミが持ち込まれるようになり、日本でも主に都市部で相談が増えています。
トコジラミは人や物の移動に気付かぬ間に紛れ、家庭に持ち込まれてしまうため、清潔にしているご家庭であっても繁殖のリスクがあり、家庭で繁殖してしまうと、駆除するのが非常に困難で厄介な害虫です。
トコジラミとは
トコジラミは、体長5~8mm前後、人やペットの血を吸う、夜行性の害虫です。
卵は1mmほど、5~11日で孵化し、脱皮を繰り返し成虫になります。成虫は約1年もの間生き続けます。
トコジラミのメスは1日あたり3~6個の卵を産み、生涯に200~500個もの卵を産卵するため繁殖力が強く、絶食にも絶えることができるため、2ヶ月以上吸血をしなくても生き延びられるといわれています。
そのため、海外旅行者の荷物にまぎれ、長距離移動し、日本に入ってくるケースが増え、最近は都市部を中心に相談件数が増えています。
トコジラミは寒いところでは生息できませんが、冬場の室内は暖房により20~25℃以上になることが多いため、生き延びることができてしまいます。
最近、大きなニュースになっていますが、高温多湿を好み、日本では春先から繁殖を続け夏にピークを迎えるため、春先以降は今よりさらに注意が必要です。
黒いシミのような血糞(けっぷん)がある場合は、トコジラミが生息している可能性があります。
血を吸われると赤い斑点ができ、非常に強いかゆみで夜も眠れないほど。
トコジラミは繁殖してしまうとご自身で駆除するのが困難な害虫なので、「家に持ち込まない」「繁殖させない」ことが大切です。
ご自宅での対策として、どのようなことができるのでしょうか。
自分でできるトコジラミの駆除方法とは?効果的な4選
トコジラミが繁殖する前であれば、ご自身で駆除・予防をすることができます。
ポイントは熱をかけるということです。トコジラミは熱に弱く、50℃の温度で30分、80℃で5分、100℃で数秒で死滅させることができます。
※衣類は高温処理をすると、脱色・縮み・風合いを損ねる恐れがあります。処理の前に必ず洗濯表示を確認しましょう。
1.洗濯&高温で死滅させる
洗濯をすると物理的にトコジラミを洗い流すことができるため、洗濯できるものは洗濯をするのが一番簡単です。
特に海外旅行から帰ってきた衣類や海外通販で購入した衣類は、まずすぐに洗濯しましょう。
トコジラミは水に強いため、洗濯の際はアルカリ性洗剤の使用を使用します。
トコジラミをつぶしてしまって臭いがついてしまったときには、しっかり滅菌をすることが大事なのでのちほど熱湯処理の方法をお伝えします。
(ただしやけどにご注意くださいね)
トコジラミと卵を死滅させる温度とは?
トコジラミは、50℃の温度で30分、80℃で5分、100℃で数秒で死滅させることができます。
トコジラミは、布団・マットレス・座布団・カーペット・畳など、繊維の奥や隙間に卵を産み付けますが、水に強いため、シーツや布団カバーを洗濯するだけでは、死滅させることができません。
熱処理をするための、7つの方法をご紹介します。
※高温処理をすることで傷み・縮みや風合いを損ねる恐れがあります。処理前に、必ず洗濯表示を確認しましょう。
ドラム式洗濯乾燥機
- 衣類
- 枕カバー・シーツ・毛布などの寝具
- 海外旅行・出張で使ったバッグ
トコジラミの卵や幼虫がひそんでいる可能性のあるものの熱処理を手軽に行うなら、ドラム式乾燥機の高温モードを使用しましょう。
80℃以上であれば、5分の乾燥で死滅させることができます。
洗濯の前に熱湯でつけ置きをした上で乾燥機を使用すると、より死滅させる効果が高まります。
乾燥機が使えない衣類もあるため、使用前には必ず洗濯表示を確認しましょう。
コインランドリー
- 座布団・クッション
- 布団
- 毛布
- 衣類
乾燥機がご自宅にない場合や、ご自宅の洗濯機に入らない大型のものは、コインランドリーを活用しましょう。
ドラム式洗濯機と同様に、80℃以上であれば、5分の乾燥で死滅させることができます。
布団乾燥機
- 布団
- マットレス
- 毛布
- 衣類
50℃以上であれば、30分の乾燥で死滅させることができます。
ドライヤー
どのご家庭にもあり、手軽に熱処理ができるのがドライヤーです。
ドライヤーは小さなアイテムであれば、温風を上げることもできますが、衣類全体を必要な時間加熱するのは難しいため、次に紹介する熱湯処理の方がおすすめです。
熱湯
- 枕カバー・シーツ・毛布などの寝具
- 海外旅行・出張で使ったバッグ
熱湯の温度は、50℃で30分、60℃で10分、80℃で5分、100℃のお湯なら数秒で死滅させることができます。
ただし、高温のお湯を使うほど、脱色、風合いを損ねる恐れがあります。色落ちや型崩れ・劣化が心配ものは、洗濯表示を確認した上で、乾燥機を使用するほうが安心です。
50℃ほどのお湯を使う場合、熱処理の時間経過とともにお湯の温度が下がってしまうため、なるべく熱いお湯を使う方がよいでしょう。
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スチーマー
- 衣類
- マットレス
- ベッドフレーム
- 床
掃除用のスチーマーも、100℃ほどの蒸気でトコジラミを死滅させることができます。
100℃のスチームであれば、数秒の噴射で死滅するため、広い範囲の駆除にもおすすめです。
アイロン
- マットレス
- シーツ・布団カバー
- 衣類
トコジラミを死滅させるのに実は便利なアイロン。
マットレスなどの表面をアイロンがけする際は、スチームも併用することで繊維の中まで熱処理することができます。
100℃のスチームであれば、数秒の噴射でトコジラミを死滅させることができます。
衣類や布団の折り目や縫い目、マットレスの淵などはアイロンがけがおすすめです。トコジラミがつぶれて血がついてしまった場合は、Rinenna#1またはRinenna#2でつけ置き洗いをすると、血液の汚れが綺麗にとれます。
ただし24時間以上経過し、時間が経てば経つほど取れにくくなるので早めにつけ置き洗いをしてくださいね。
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2.天日干し
- マットレス
- 布団
- 毛布
乾燥機に入らない、大物の布団は天日干ししましょう。ただし、普通に干すだけではトコジラミを死滅させることはできません。
冬場は難しくなりますが、トコジラミが繁殖する春~夏にかけ、黒いビニール袋に布団を入れて干すことで、温度を上げ、トコジラミを死滅させることができます。
3.掃除機による吸引
- 目に見えるところにいるトコジラミ・卵・死骸
- ベッド(フレーム・脚・ボード)の継ぎ目
- マットレス(継ぎ目・ラベル)
トコジラミは、布団やマットレスの縫い目や隙間、ベッドフレームにも潜んでいます。これらを掃除機で吸い込むのも有効です。
細いのノズルを使い、細かく・ゆっくり時間をかけて吸引しましょう。
掃除機で吸引したら掃除機にたまっているごみはすぐに捨て、家の外に出します。そのままにしていると、掃除機の中で卵が羽化し、トコジラミが繁殖することがあります。
4.殺虫スプレー
ベッドの隙間やマットレスの奥に潜むトコジラミを、自己処理で駆除するには限界があります。トコジラミ専用の殺虫剤も市販されているため、刺されるなどの実害がある場合は、迷わず殺虫剤も使用しましょう。
※トコジラミの卵に殺虫剤はききません。卵は5~11日で孵化するため、何度かに分けて使用します。
トコジラミに有効な殺虫スプレーの成分
最近は、殺虫剤に抵抗力のあるスーパートコジラミや、日本で発売されているすべての殺虫剤がきかないネッタイトコジラミも確認されています。
スーパートコジラミは、メトキサジアゾンが配合されている殺虫剤を使用すると効果がありますが、ネッタイトコジラミのように効果が見られないときは専門業者に相談しましょう。
妊婦さんや乳幼児がいるご家庭でも殺虫剤を使うことはできますが、噴射している際は入室を控え、噴射後は換気してから入室するようにします。
ベッドに潜伏しているトコジラミの駆除方法
トコジラミは主に、吸血源である人間の近くであるベッド周りに潜伏しています。外から入ってくる害虫なので、清潔にしているご家庭であっても、侵入する可能性があります。
すでに、トコジラミに刺されるなどの実害が出ている場合は、まず殺虫剤を使用しましょう。その上で、死骸や卵が残る寝具を、徹底的に掃除・洗濯します。
ふとん・シーツ・毛布は掃除機+洗濯乾燥
洗える寝具は洗い、乾燥機にかけます。
シーツや枕カバーなど、小さなものは熱湯でつけ置きをしてから、洗濯機にかけるのもおすすめです。乾燥機を使用する際は、高温の設定にします。
80℃以上であれば、5分の乾燥で死滅させることができます。
洗うことのできない大きな布団は、夏場であれば黒いビニール袋に入れ、天日干ししましょう。
すでに、寝具にトコジラミが繁殖している場合、他の衣類と混ざらないように洗濯をします。寝室から洗濯機に運ぶ間はビニール袋に入れ、しっかり密閉しましょう。
洗濯と同時にマットレス、ベッド周りを中心に、寝室全体を丁寧に掃除機がけすることで、トコジラミを減らしましょう。ゆっくりと往復しながら掃除機をかけ、吸い取ったゴミはビニール袋に入れてすぐに破棄します。
マットレスは掃除機+天日干し
マットレスはスチーマーや布団乾燥機などがある場合は、活用し、加熱処理をします。ご自宅にない場合は、掃除機をかけ、天日干ししましょう。
ただし、マットレスの奥でトコジラミが繁殖している場合、天日干しだけですべて駆除するのは非常に困難です。
殺虫剤を併用しても被害が続く場合は、残念ですが買い替えも検討しましょう。
ベッドフレームには殺虫スプレー
トコジラミは夜行性のため、日中は昼間はベッド・壁・床などの隙間に隠れています。日中に駆除をする場合は、殺虫スプレーを活用するのがおすすめです。
トコジラミ専用のスプレーも市販されています。
トコジラミはベッド以外にも広がっている可能性も
トコジラミは主に、吸血源である人間の近くにあるベッド周りに潜伏しますが、人間が生活している範囲であれば、寝室以外の場所に潜んでいることも。
寝室以外で注意すべき場所を紹介します。
洋室のトコジラミが潜伏しやすい場所
- 壁・天井・床板の角
- 家具の隙間・裏側
- 本棚
- カーテン
- カーペット・絨毯・マットなど敷物の下
- 壁の額縁
- 段ボール置き場
和室のトコジラミが潜伏しやすい場所
- 壁・天井の角
- 障子・ふすま
- 押し入れの中
- 畳と畳の隙間・裏
段ボールも要注意
2週間吸血をしなくても生き続けられるトコジラミは、通販の段ボールなどに潜み、海外から家庭に入るケースがあります。
特に海外から届いた段ボールは、屋外で開封し、梱包資材と一緒に屋外で保管するほうが安心です。
【応急処置】トコジラミは暗くなると動き出す!部屋を暗くしない
トコジラミは夜行性のため、照明を点けたまま寝ると、一時的ではありますが、被害を防げる可能性があります。
旅行先のホテルなどで被害が心配な場合や、すぐに殺虫剤を購入できないときは試してみましょう。
ご自宅の場合、トコジラミは2週間吸血をしなくても生き延びることができ、寿命が1年あるため、応急処置で明るいまま過ごした後は、殺虫剤や掃除、洗濯で駆除する必要があります。
トコジラミの被害に遭わないための予防方法
繁殖力が高く、生き延びる力の強いトコジラミは、一度家庭で繁殖してしまうと、完全に駆除するのが難しい害虫です。
トコジラミが家庭に持ち込まれる最大の要因は、旅行・出張先に持っていった荷物への付着です。特に、トコジラミの被害が大きい国に旅行・出張に出かけた際は、荷物の置き場所に注意し、持ち帰った荷物にトコジラミが付着していないか、念入りに確認しましょう。
旅行先・出張先からトコジラミを持ち帰らない
- 宿泊先では、できるだけベッドから離れた所で荷物を開く
- 宿泊先の部屋に抜け殻や血糞がないか確認する(あった場合は部屋を変えてもらうのも◎)
- 旅行先から帰った際、荷物を浴室で開ける
- 衣類はすぐ洗濯(乾燥機使用or熱湯でつけ置きする)
- カバンも洗えるようであれば、洗う
中古の家具や本を購入するときはよく確認する
中古の家具や本を購入した後は、トコジラミだけでなく他の害虫が潜んでいないか、確認をしましょう。
トコジラミが繁殖している部屋から家具を移動させると、他の部屋にも被害が拡大するため、注意が必要です。
公共交通機関では座らない
トコジラミは、電車やバスの座席に潜んでいることもあります。
トコジラミの被害が大きい地域に海外旅行・出張に行く場合は、公共交通機関の座席に座らないほうが安心です。
通販の荷物は外で開ける
海外ECで購入した商品の段ボール・梱包材にトコジラミが付着していることもあるため、荷物を開封する際は、トコジラミがいないかチェックし、段ボールや梱包材をすぐに捨てましょう。
心配な場合は、屋外で開封し、梱包材・段ボールも屋外で保管します。
トコジラミと卵は生態をよく知って洗濯や掃除を
トコジラミは、卵の段階では被害はありません。(5~11日で孵化します。)
日常生活で、トコジラミの成虫や卵の潜んでいそうな場所を意識して洗濯や掃除をすれば、ある程度の被害は防ぐことができます。
トコジラミは春から夏にかけて繁殖するため、暖かくなってきたら寝室は特に念入りに掃除をしましょう。
それでも外から持ち帰ってしまい、一度繁殖すると完全駆除が難しいのがトコジラミです。「これはトコジラミの跡?」と不安を感じたら、プロの業者に連絡し、相談してみましょう。
自己対策では無理だと思ったらプロに相談を
トコジラミが繁殖してしまうと、家庭で駆除をするのには限界があります。
薬に対する抵抗力を持ったトコジラミや、日本で承認されている殺虫成分がきかないネッタイトコジラミもいるため、駆除を続け、2週間たっても激減しない場合や、1ヶ月以上駆除できない場合は、専門業者に相談しましょう。
とにかく繁殖してしまうと駆除が難しい害虫なので、トコジラミを家庭に「持ち込まない」ために予防しましょう。
これから繁殖期を迎えるため、寝室の掃除、寝具の洗濯は念入りに行いましょう。