今日は、布おむつブランド【Rinenna Baby】を立ち上げたきっかけについてお話しさせていただきたいと思います。
震災の混乱の中「必要にかられて」
私は第1子を出産するまで、俗に言う「バリキャリ」路線を歩んできました。
結婚前は結婚後の生活や人生について全く想像がつかない状態。
長男を出産後の産休・育休中は完全 にワンオペ育児。
子育てをしながらの今後の自分のキャリアについても正解を見つけ出せないまま日々を過ごしていました。
そんなワンオペ育児真っ只中の2011年3月11日、 あの震災が起こりました。
憶えている方も多いと思いますが、震災後、スーパーやベビー用品売り場から紙オムツなどの製品が姿を消した時期がありました。
一人での子育て でただでさえ不安な中、外出もままならず、震災後の生活は本当に手探りでした。
それでも赤ちゃんは当然のことながら、毎日うんちやおしっこをしますし、トイレで用を足せる ような月齢でもありません。
なんとか赤ちゃんにとって快適な環境を作るべく、手を伸ばしたのが「布おむつ」だったのです。
当時の私にとって「布おむつ」とは、ナチュラ ル派志向の人や子育てにある一定の理念を持つ人が使うもの、というイメージで、超合理主義の私とは相入れないものだと思い込んでいました。
ところが・・・ 良かった。
使えば使うほど、布おむつの利点がはっきりとしてきたのです。
非日常が訪れた時に気づいた、布おむつの利点。
布おむつが活躍するのはなんといっても災害や今回のコロナ禍で起こった外出自粛など、非日常が訪れた時だと思います。
そのような時は流通がストップしてしまったり、 買い占めが起こったり、お店自体が閉まってしまったり…。
紙オムツを入手する事が困難になりがちです。
布おむつが家にあれば、紙オムツが手に入らなくても「水」さ え通っていれば、赤ちゃんにとって快適な環境を作ってあげる事ができるのです。
さらに、紙オムツの場合、どうしても汚物がついたままゴミを捨てる事になりますが、災 害時はゴミ収集さえままなりません。
布おむつの場合、汚物も水に流してしまいますので衛生的でもあるのです。
先の震災時には、布おむつにチャレンジした事で、紙 オムツを入手できるか出来ないかという不安からも解放され、余計な買いだめをする事もなく過ごす事ができました。
ないなら私が作る!
ところが、その布おむつ生活が文句なしに快適なものだったわけではありません。
当時流通していた布おむつの、形やサイズ展開、デザインなど私には不満が多々ありました。
「赤ちゃんのおむつのS・M・Lサイズってうちの子はどのサイズなの?」「輪オムツは洗濯の時、絡んで途中で止まる!(ピピピという洗濯機の警告音でせっかく寝かしつけた赤ちゃ んが起きてしまうし)」「どうしてこんなに漏れるの??」などなど。
「なんとかならないかなぁ…」というモヤモヤした気持ちと同時に、まだバリキャリ路線だった時代に、オフィスに ベビーカーを押して打ち合わせにやってきた先輩の姿が浮かんだのです。
その時私は「子どもを生んでも自分らしく働ける」という、希望のような感覚を抱いた事を思い出しました。
ワンオペ育児で未来が見えていなかった私に、自分らしい生き方が見えた瞬間でした。
「私がなんとかする!」 布おむつを使ってみて感じた不満要素を取り除き、もっと気軽に手を出せ て、布おむつの良さだけを実感できる商品を作ろうと決めました。
ベビー用おむつを使うご家庭の中で、布おむつ利用者はわずか4%。使い続けるうち、製品バラエティ豊かな紙おむつ利用者だった私には、何故4%にとどまるのかがよく分かりました。
あくまで個人的感想ですが、当時、布おむつを使い始めて感じた「布おむつを使わない3大理由」は以下の通り。
1.漏れる
2.S.M.Lのどれにあてはまるのか分からない
3.処理(洗濯)が大変そう(実際大変)
…これでは、使い続けたいと思えませんよね。
それでも布おむつを選んだ理由
そんな致命的ともいえる弱点をもった「布おむつ」ですが、それでも我が子には布おむつを使いたいと思った理由があります。1.非常時で紙おむつがなくなっても慌てずお世話ができる
2.おむつはずれがスムーズで早い
3.実は経済的
そして大事な点がもうひとつ
4.赤ちゃんの身体のため
「赤ちゃんの身体のため」というのは、製品を作るようになり色々と調査する中で知った事なのですが、アメリカの小児科医が発表した論文の中で、 「赤ちゃんの腰に異変が出ている」というものがありました。
おしっこを吸収すると500g程になる紙おむつ。体重わずか数kgの赤ちゃんの腰には相当な負担になりかねません。
紙おむつを使用していたから分かる事なのですが、オムツ替えをしてすぐにおしっこをしてしまった時、おしらせラインは出ているけど少量の時、 何度も新しい紙おむつに替えるのをもったいないと思った事はありませんか?
紙おむつは吸収性も良く、赤ちゃんも不快感を表さない事が多いので、つい、長時間おむつ替えをせずにいたりしますよね。
実は、その重たいおむつが赤ちゃんの腰にダメージをあたえているという事が分かったのです。
もちろん、その都度きちんと丁寧におむつ替えをしているお母さんもたくさんいらっしゃると思います。
でも、そうすればするほど、残念な事に紙おむつは家計を圧迫していきます。些細な事のように感じますが、数年間のおむつ期間を考えると大きな問題です。
ただ、布おむつにこれだけ多くの利点があっても、先にあげた「選ばない理由」のハードルは相当高いのです。
革新的な布おむつRinenna Babyの誕生
私が感じた布おむつの利点だけを体感できれば…。そんな想いから製品づくりが始まりました。
当時あった布おむつは、どうしても漏れる形ばかり。
まずはそこをなんとかしようと、我が子の身体を使って緻密に計算し、縫製工場で繊維のプロと何度も協議を重ね、糸の向き・繊維の向きなど細部まで考慮し設計して、 当時はどこにもなかった「成形おむつ」を開発しました。
この成形おむつのおかげで ・漏れない ・新生児〜おむつはずれまで1サイズでOK ・洗濯が簡単(洗濯機の中で絡まず扱いやすい) と様々なハードルを解決できたのです。
赤ちゃんにとっても心地よく、お母さんには扱いやすい布おむつが完成しました。
ハッピーな布おむつ生活を応援します
それでも、布おむつは洗濯をしなければならず、時間的にも精神的にも余裕のないお母さんには、ここが最大のハードルかもしれません。そこで、つけおき洗剤Rinennaを開発することで「みんながハッピーな布おむつ生活」を目指しました。
Rinennaの布おむつは最初に買い揃える必要があるので、初期費用はかかります。
ですが、実は…買い替えの必要がないほど高性能な製品を作ってしまったのです(笑)。ユーザーさんから「2人目3人目にも使っています」というお声をいただくほど。
Rinennaの洗剤は市販の洗濯洗剤と比べるとお値段が張りますが、Rinenna Babyを使うことで浮く、数年間の紙おむつ費用を考えると実は家計に優しいのです。
お出かけの時は紙おむつ+お家では布おむつ、などご自身の性格や生活スタイルに合った方法で、ストレスなく赤ちゃんとの時間を過ごしていただければと思います。