洗濯研究家・クリーニング師の平島利恵です。四児の母として日々の洗濯に向き合いながら、家庭で実践しやすい洗濯のコツをお伝えしています。
「漂白剤って、何でも白くしちゃうんでしょ?」「塩素系と酸素系、どっちを使えばいいの?」── 漂白剤は正しく使えばシミや黄ばみを落とし、衣類を清潔に保つ強い味方です。でも使い方を間違えると、脱色や繊維の傷みの原因になってしまいます。この記事では、漂白剤の種類と使い分け、色落ちを防ぐポイントを解説します。
そもそも漂白剤とは?洗剤との違い

ワイドハイターやオキシクリーンも漂白剤ですが、意外と知らずに使っている方もいらっしゃるかもしれません。漂白剤を正しく使うと、シミや汚れを取り除く・衣類全体のくすみをとる・雑菌を殺菌消毒する・生乾き臭や汗臭などの嫌なニオイを取り除くといったメリットがあります。
漂白剤と洗剤は、どちらも衣類の汚れを落としますが、メカニズムが異なります。
| 種類 | 汚れの落とし方 |
|---|---|
| 洗剤 | 界面活性剤が汚れに吸着し、繊維から汚れを引きはがす |
| 漂白剤 | 化学反応でシミや汚れの色素・汚れ自体を分解する |
漂白剤の方が汚れを落とす効果は高いものの、衣類の繊維への負担も大きくなります。汚れの種類や衣類の繊維に合わせて使い分けることが大切です。
塩素系と酸素系の違い|漂白剤の使い分け
漂白剤には「塩素系漂白剤」と「酸素系漂白剤」があります。同じ漂白剤でも、使用できる衣類がまったく異なります。
| 項目 | 塩素系 | 酸素系 |
|---|---|---|
| 主成分 | 次亜塩素酸 ナトリウム |
過酸化水素・ 過炭酸ナトリウム |
| 漂白力 | 非常に強い | 穏やか |
| 使える衣類 | 白物のみ | 色柄物もOK |
| 使えない素材 | 毛・絹・ナイロン・ ポリウレタン |
金属パーツ付き (粉末の場合) |
| 注意点 | 酸性と混ぜると 有毒ガス発生 |
密閉容器で保管 すると破裂の恐れ |
使い分けの基本は、白物の強力な漂白・殺菌なら塩素系、色柄物の黄ばみ・くすみ落としなら酸素系。おしゃれ着・デリケート素材は漂白剤を避け、おしゃれ着洗剤でやさしく洗います。迷ったら、酸素系漂白剤を選ぶのが安心です。
漂白剤の色落ちを防ぐポイント
漂白剤で脱色してしまったものは、元に戻すことができません。使う前に、次のポイントを押さえておきましょう。
洗濯表示を必ず確認
漂白剤を使用する前は、衣類の洗濯表示を必ず確認します。
| マーク | 意味 |
|---|---|
|
△マーク 酸素系・塩素系ともに使用可 |
|
|
△に斜線 酸素系のみ使用可(塩素系は不可) |
|
|
△に×印 漂白剤使用禁止 |
「漂白剤使用禁止」の衣類には、白物であっても漂白剤は使えません。
大切な衣類の色落ちテストの手順
大切な衣類は、目立たない場所で色落ちテストを行いましょう。
- 漂白剤をお湯に溶かし、濃いめの液を作ります
- 衣類の目立たない場所に塗布し、5分ほどおきます
- 周りの繊維と比べ、色落ちがないか確認します
- 白い布を当て、色移りしないか確認します
塩素系漂白剤は漂白力が強い反面、使用できる衣類が限られます。迷ったら、色柄物にも使える酸素系漂白剤を。ただし酸素系でも「漂白剤使用禁止」の衣類には使えません。必ず洗濯表示を確認してください。
塩素系漂白剤とは?特徴と使える素材
塩素系漂白剤は、漂白・殺菌力が非常に強いのが特徴です。トイレ・お風呂・キッチン用として使われることが多く、衣類用で使われることは少なめです。
- 漂白・殺菌力が非常に強い
- 染料まで脱色するため、白物にのみ使用可
- 強いアルカリ性で、綿・麻・ポリエステル・アクリル以外の繊維には使用不可
- 刺激臭があり、酸性の洗剤と混ぜると有毒ガスが発生
塩素系漂白剤で落とせる汚れ・使い方
落とせる汚れ(※白物に限る):食べこぼし/黄ばみ・黒ずみ/汗・血液などの汚れ/衣料品についた菌・ウィルス/カビ
つけ置き洗いの場合
- 塩素系漂白剤を規定量の水で薄め、30分ほどつけ置きします(2時間以上のつけ置きはNG)
- ゴム手袋をつけ、水でしっかりすすぎます
- 洗濯機で脱水し、干します
洗濯機洗いの場合:洗剤に漂白剤を加えて洗濯機にかけます。投入口は洗濯機により異なるので取扱説明書を確認しましょう。いずれの場合も、白物以外と混ぜて洗濯はできません。
塩素系漂白剤のよくある失敗
①襟袖の黄ばみ

白いYシャツに塩素系漂白剤を使うと、襟袖が黄色く変色してしまうことがあります。型崩れを防ぐための芯地を樹脂で接着しているものがあり、塩素系漂白剤との化学反応で樹脂が黄ばみとなるのです。
②ゴムのゆるみ
パンツなどのゴムに使用されているポリウレタンが漂白剤の影響で傷み、伸縮性が損なわれてしまいます。ポリウレタンを含む衣類には塩素系漂白剤の使用を避けましょう。
知らずにやりがち|日焼け止めによるピンク変色に注意

日焼け止めに含まれる紫外線吸収剤は、漂白剤と反応してピンクやオレンジ色に変色することがあります。「白くしようと漂白したら、かえってピンクのシミになってしまった」というご相談は少なくありません。
これは汚れではなく化学反応による変色なので、洗っても簡単には戻りません。日焼け止めや化粧品がついている可能性のある衣類は、漂白剤の使用を控えてください。夏場の衣類や、首まわり・襟元は特に注意が必要です。
塩素系漂白剤を使う際の注意点・殺菌方法
使う際の注意点
- 漂白剤を使用する前に、必ず洗濯表示を確認する
- 白物以外の衣類に使用すると、脱色してしまう
- 色柄物・毛・絹・ナイロン・ポリウレタン・金属パーツには使用不可
- 酸性の洗剤と混ぜるのは厳禁(有毒ガスが発生)
- 刺激臭があるため、使用する際は換気する
- 素手で触らず、必ずゴム手袋を着用する
- 使用量・温度・使用時間を守る
塩素系漂白剤を使った殺菌方法
塩素系漂白剤は、ノロウイルスなどの殺菌にも使われます。水に塩素系漂白剤を混ぜ、60分ほどつけ置きすることで殺菌効果が見込めます(台所用の布巾、感染性のウィルスが含まれる吐しゃ物・排泄物などが付着した布類)。※この場合も白物衣料にのみ使えます。
酸素系漂白剤の正しい使い方

酸素系漂白剤は、酸素の力で汚れを分解します。塩素系より漂白力は穏やかですが、色柄物にも使えるのが最大のメリットです。染料を脱色しないため色柄物にも使え、除菌・殺菌力で生乾き臭を防ぎ、黄ばみ・食べこぼし・くすみなどを落とせます。
粉末と液体の違い
酸素系漂白剤には「粉末」と「液体」があり、成分も使い方も異なります。
| 項目 | 粉末 | 液体 |
|---|---|---|
| 性質 | アルカリ性 | 酸性 |
| 漂白力 | 強い | マイルド |
| 使い方 | つけ置き洗い 向き |
直接塗布・ 洗濯機にプラス |
| 温度 |
40℃以上で 効果発揮 |
常温でも使える |
| 絹・毛 | 使用不可 | 使用OK |
| 代表商品 | オキシクリーン | ワイドハイター |
しっかり漂白したい・つけ置きできるなら粉末、手軽に使いたい・ウール製品にも使いたいなら液体。粉末タイプは40℃以上のお湯を使わないとほとんど効果が出ないので、必ずお湯を使うのがポイントです。
酸素系漂白剤の使い方・落とせる汚れ
落とせる汚れ:襟袖の黄ばみ・黒ずみ/食べ物・飲み物(コーヒー、紅茶、ジュース、赤ワインなど)の汚れ/汗・血液などの汚れ/カビ
液体タイプの使い方
シミ抜き:気になる汚れに直接塗布し、すぐに洗濯機にかけます。汚れがひどい時は、塗布した後ぬるま湯で30分ほどつけ置きしてから洗濯機へ。
普段の洗濯にプラス:洗剤に漂白剤を加えてから洗濯機にかけます。
粉末タイプの使い方
ぬるま湯に漂白剤を溶かし、つけ置き洗いします。40℃以上のお湯を使うことで漂白効果が高まります。つけ置き後は洗濯機にかけて洗います。
酸素系漂白剤のよくある失敗・注意点
①衣類の破れ:粉末の酸素系漂白剤の成分である過炭酸ナトリウムは、金属と化学反応を起こし、周りの繊維を傷めてしまうことがあります。チャックやボタン、装飾などで金属が使われている衣類は、適量より薄めに使用しましょう。
②金属塗料の色抜け:衣類には金属の塗料が使用されていることがあります。気づかずに漂白すると、金属塗料の部分だけ色落ちしてしまうことがあります。
③密閉したことによる爆発:酸素系漂白剤は保存中も少しずつ酸素を発生させます。ガラス瓶やペットボトルなどの密閉容器に保存すると、酸素が充満し破裂・爆発することがあります。買った時の容器で保管しましょう。
使う際の注意点:洗濯表示を必ず確認する/金属との化学反応で衣類が破れることがある(綿素材は要注意)/使用量・温度・使用時間を守る/必ずゴム手袋を着用する/容器を移し替えしない。
傷めたくない衣類の黄ばみ・黒ずみには、漂白剤以外の選択肢も
漂白剤は化学反応で汚れそのものを分解しますが、その際に汚れの周りの繊維まで傷めてしまうことがあります。「黄ばみ=漂白剤」と思われがちですが、大切な衣類を長持ちさせたい場合は、繊維を傷めにくい洗剤でのシミ抜きという選択肢もあります。
たとえばRinennaの洗剤は、漂白剤のように色素を分解するのではなく、タンパク質分解酵素で汚れを繊維から浮かせて落とすため、繊維への負担が少ないのが特徴です。皮脂や汗による襟袖の黄ばみ・黒ずみ(タンパク質汚れ)は、漂白剤に頼らずこうした洗剤でケアできます。
おしゃれ着の油性のシミには、中性で水洗いできる衣類に使えるRINENNA Pro #ZEROも。どうしても落ちない黄ばみは、#ZEROを塗布してから#1でつけ置きする合わせ技で、油由来の汚れにもヒト由来の汚れにも働きかけられます。
漂白剤のよくある質問
Q. 漂白剤は毎回使っていい?
A. 毎回使う必要はありません。普段の洗濯は洗濯洗剤だけで十分です。漂白剤は「洗剤だけでは落ちない汚れやニオイ」がある時に使いましょう(正しく洗濯しても汗臭さが残る/洗濯槽を掃除しても生乾き臭がする/時間が経って定着したシミや黄ばみがある)。「とりあえず入れておく」ではなく「正しく洗っても落ちない時に使う」と覚えておきましょう。
Q. 塩素系と酸素系、混ぜても大丈夫?
A. 絶対にNGです。塩素系漂白剤と酸性の洗剤を混ぜると有毒ガスが発生します。「まぜるな危険」の表示がある製品は、絶対に他の洗剤と混ぜないでください。
Q. オキシクリーンとワイドハイターの違いは?
A. 粉末(アルカリ性)と液体(酸性)の違いです。オキシクリーンは粉末タイプで漂白力が強く、つけ置き洗い向き、40℃以上のお湯で効果発揮。ワイドハイターは液体タイプで漂白力はマイルドだが常温でも使え、ウール製品にも使えます。しっかり漂白したいなら粉末、手軽に使いたいなら液体を選びましょう。
Q. 漂白剤を使っても汚れが落ちない時は?
A. まずは洗濯方法を見直してみましょう。汚れが落ちない原因は、漂白剤ではなく洗濯方法にあるかもしれません(洗濯物を詰め込みすぎていないか/洗剤の量は適切か/洗濯槽は清潔か)。生乾き臭がする場合は洗濯槽の汚れが原因のことも。漂白剤を足す前に、基本の洗濯を見直してみてください。
洗濯研究家・平島利恵からのアドバイス
そして、漂白剤は万能ではありません。日焼け止めによるピンク変色のように、漂白剤がかえってトラブルを招くこともあります。大切な衣類やおしゃれ着の黄ばみ・黒ずみは、繊維を傷めにくい洗剤でのケアも、ぜひ選択肢に入れてみてください。汚れはついてすぐに対処するのが鉄則です。
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