洗濯研究家・クリーニング師の平島利恵です。四児の母として日々の洗濯に向き合いながら、家庭で実践しやすい洗濯のコツをお伝えしています。
季節の変わり目に行う衣替え。
しまっておいた衣類を取り出したら、虫食いの穴が開いていた、カビくさい、シミが浮き出ていた……なんて経験はありませんか?
これらは衣類そのものの問題ではなく、収納の仕方で防げるトラブルです。
そこで今回は、虫食い・カビを防ぐ収納のポイントと、意外と知られていない防虫剤の正しい使い方をご紹介します。
衣替えの収納で起こる、衣類トラブルの正体
しまっている間に衣類が傷むのには、はっきりした原因があります。まずは虫食いとカビ、2つのメカニズムを知っておきましょう。
冬物に多い「虫食い」は、繊維と汚れの両方が狙われる
ウールやシルクなどの動物性繊維に含まれるたんぱく質は、虫たちの栄養源。
それに加え、厚手の生地の内側に付着した汗や皮脂汚れも虫にとっては格好のえさ場となってしまいます。
また気温が15度以上の暖かい季節、すなわち春〜秋にかけて虫は活発になると言われています。
そのため冬物をしまっている期間に虫食いトラブルが多く発生するのです。
虫が狙いやすい代表的なものは以下のとおりです。
・ウールやシルク、カシミヤなどの動物性繊維
・食べこぼし
・髪の毛、フケ、皮脂
さらに、木綿や化学繊維の衣類でも食べこぼしや皮脂汚れなどがあれば虫食いが起こります。「動物性繊維じゃないから大丈夫」とは言い切れないのです。
一年を通して「カビ」は衣類の大敵!
季節に関係なく、最も気をつけたいのはカビ。
カビは温度が20〜30℃、湿度60%以上で繁殖しやすくなります。
また食べかすや衣類に付着した汗、皮脂汚れ、髪の毛などを栄養にするカビは、衣類にも発生することも。
これらの条件が満たされるのは梅雨の時期と思われがちですが、気密性の高いマンションや窓のない部屋、クローゼットや押し入れなどは、1年を通して湿度が高くなるので要注意です。
つまり、虫食いもカビもエサ(汚れ)と湿気という同じ条件を好みます。だからこそ、収納前にやるべきことは共通しているのです。
虫食い・カビを防ぐ、衣替え収納5つのポイント
①一度でも袖を通した衣類は必ず洗濯をする
一度着用しただけだからと洗濯せずにしまうのは危険です。
自分が思っている以上に汗をかいたり皮脂汚れなどがついていることも。
やっかいなのは、汗や皮脂の汚れが透明で目に見えないこと。
洗濯機で洗ったつもりでも繊維の奥に残っていると、しまっている間に酸化して、次のシーズンに黄ばみ・変色として浮き出てきます。
そしてその汚れは、そのまま虫やカビのエサにもなります。
収納前の「徹底洗い」には、つけ置きを
汗や皮脂汚れは40℃前後のお湯で溶け出しやすくなります。
身体から出る汚れを繊維の奥からはがして落とすRinennaの洗濯洗剤なら、面倒なもみ洗いの必要がなく、40℃前後のお湯で30分〜2時間つけ置きするだけ。
汚れが残った場合は、放置時間を延ばさずにつけ置きを繰り返してください。
Rinenna #1・#2は洗浄力・消臭力が同じで、違いは蛍光剤の有無と香りの2点だけです。白いYシャツやTシャツには、蛍光剤が白さを際立たせて見せるRinenna #2もおすすめです。
②洗濯後はしっかり乾かす
厚手の冬物は特に、表面だけが乾いて繊維の奥までは乾いていないこともあるので、完全に乾くように数日間干すと◎。
またクリーニング店から戻った衣類はスチームアイロンの湿気を含んでいることがあります。
さらにビニール製のカバーはホコリを引き寄せ、湿気も逃げにくいので外すことを忘れずに。
③収納に段ボールはNG
段ボールに収納する人は多いかもしれません。
しかし、段ボールは空気中の湿気を吸収しやすく、カビや虫が湧きやすくなるので注意しましょう。
吸湿性の良い木製チェストや、気密性の高いプラスチックなどのケースが◎。
気密性が高いと防虫剤の効きもよくなります。
④定期的に収納場所の換気、掃除をする
換気や掃除と共に除湿機や除湿剤も使用しましょう。
特に高温多湿になりがちな夏場は、晴れた日に4〜5時間陰干しさせるといいですよ。
⑤衣類をぎゅうぎゅうに詰め込まない
衣類を詰めすぎると風の通りが悪くなり、湿気が溜まりやすくなります。
また防虫剤などの効果が浸透しにくくなるため余裕をもってしまいましょう。
意外と知らない、防虫剤の正しい使い方
「とりあえず入れておけば安心」と思われがちな防虫剤ですが、種類の組み合わせと置く場所を間違えると、効果が出ないどころか衣類を傷める原因になります。
混ぜて使える防虫剤・使えない防虫剤
家庭用の防虫剤に使われている有効成分は、大きく4種類。
無臭タイプのピレスロイド系は他の防虫剤と併用できますが、ニオイのあるタイプ同士を一緒に使うことはできません。
| 成分の種類 | 特徴 | 他の防虫剤との併用 |
|---|---|---|
| ピレスロイド系 (エムペントリン/プロフルトリン/フェノトリン) |
ニオイがつかない無臭タイプ。取り出してすぐ着られる | 併用できる |
| パラジクロルベンゼン | 効き目が出るのが早い有臭タイプ | ⚠ 有臭タイプ同士はNG |
| ナフタリン | 効果がゆっくり長く続く有臭タイプ | ⚠ 有臭タイプ同士はNG |
| しょうのう(樟脳) | 古くから和服に使われる有臭タイプ | ⚠ 有臭タイプ同士はNG |
異なるニオイのタイプを一緒に入れると、成分同士が影響し合って溶け、衣類のシミや変色の原因になることがあります。
去年の防虫剤が残っている引き出しに、今年別のタイプを買い足す——これがいちばんやりがちな失敗です。詰め替えるときは前の防虫剤を取り除いてから入れましょう。
防虫剤は「衣類の一番上」に置く
防虫剤の成分は空気より重く、上から下へ広がります。
そのため、引き出しやケースの底や衣類の間に埋めてしまうと、全体に行き渡りません。たたんだ衣類の一番上に置くのが正解です。
吊るすタイプはクローゼットのバーにかけ、衣類とすき間を空けて使いましょう。
密閉できる容器に入れる
防虫成分は空気中に広がって効果を発揮するので、密閉状態を保てる容器ほど効果的です。
フタつきの衣装ケースやチャック付きの収納袋が向いています。逆に、開けっ放しの棚や通気口の多いケースでは成分が逃げてしまい、効きが弱くなります。
③でお伝えした「段ボールはNG・気密性の高いケースが◎」は、防虫剤の面から見ても正解なのです。
衣替えで取り出した衣類、まずするべきことは?
約半年間しまってあった衣類に、防虫剤の臭いやたたみジワがあったなんて経験はありませんか?そんなときには次の方法を試してみましょう。
防虫剤のニオイ取り
防虫剤のニオイは揮発性があるので、風通しの良い場所に4〜5時間陰干し、その後かたく絞った布を当て布にしてアイロンをかけると臭いが取れますよ。
日に当たると衣類に付着した防虫剤が変色することがあるので要注意です。
たたみジワをきれいにする方法
お風呂に入ったあと、蒸気が残っている浴室に30分〜1時間ほど吊るしておきましょう。
その後、風通しの良い場所で陰干しするときれいになります。
湿気を含んだまま長時間置くとカビの原因になるので、吊るしっぱなしにしないよう気をつけてください。
他にはスチームアイロンを当てたり、シワを霧吹きで湿らせてアイロンやドライヤーを当ててシワを伸ばす方法も。
まとめ
- 虫食いもカビも、エサになるのは衣類に残った汗・皮脂・食べこぼし。しまう前に必ず洗う
- 汗や皮脂は目に見えないので、収納前は40℃前後のお湯で30分〜2時間つけ置きして落としきる
- 完全に乾かしてから、余裕をもって収納する。クリーニングのビニールカバーは外す
- 段ボールは湿気を吸うのでNG。気密性の高いケースなら防虫剤の効きもよくなる
- 防虫剤は無臭のピレスロイド系だけが併用可。有臭タイプ同士を混ぜるとシミ・変色の原因になる
- 防虫剤の成分は空気より重いので、衣類の一番上に置く
- 取り出した衣類は、陰干しでニオイを飛ばし、浴室の蒸気でたたみジワを伸ばす









